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ヒルトップ農場へ その4

英国
08 /30 2018
さて、前回の続き、英国 湖水地方ニアソーリーにあるヒルトップ農場のヒルトップハウス内部見学。1階を見て回り、2階へとつながる階段にもたくさんのエピソードが。

ヒルトップハウスの2階へと続く階段(The Staircase)は、最初から取り付けられていたものではなく、途中で付け加えられたものだった。

17世紀末に建てられたヒルトップハウスは、玄関ホールに小さな螺旋階段(spiral staircase)が取り付けられていた。

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18世紀、現在の階段部分が増築され、途中に踊り場がある折り返し階段に付け替えられた。階段の手すりは緩やかにカーブし、手すりを支える手すり子は、シャープな角材の間に木材を回転させテーブルの脚のように丸く削りとられた手すり子が並ぶ、とてもエレガントな手すりがつけられた。

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階段の折り返し部分にある踊り場は、畳一畳分ほどのスペースがあり、手すり子と同じように丸く削りとられた木材で仕切られた柵があり、外壁部分に高さ2メートルはあろうかと思われる格子の枠がはめ込まれたガラス窓より、薄暗い玄関ホールに明るさを届ける。

ビアトリクスは、階段の踊り場から玄関ホールまで明かりが射しこむ大きな窓と、エレガントな手すりがついた階段を気に入っていた。

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『ひげのサムエルのおはなし』の冒頭、タビタお母さんがトムを探している場面で階段が描かれた。この場面でタビタお母さんの後ろに描かれたのは、踊り場に設置された「ロングケース・クロック」。

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ロングケース・クロック(Longcase clock)は、高さ2メートル50センチあり、現在はホール・クロックと呼ばれる振り子時計で、アメリカの呼び名はグランドファーザー・クロック。18世紀のショーフィールド社(Schofield)のもので、ビアトリクスは「時計の音はゆったりとした心臓の鼓動のよう」と、結婚後住居をカースルコテージに移してからも「古い家が寂しくないよう付き添いに行く」と、毎日のようにヒルトップハウスに出かけたそうだ。

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大きな窓の前に19世紀初頭に活躍したイタリアの彫刻家ピエトロ・マーニ(Pietro Magni)の「本を読む少女」の摸刻像(本物よりひと回り小さいサイズ44x27センチ)が飾られている。この像の飾り台としてビアトリクスが使用したのは、「棺(coffin)」と呼ばれる17世紀のスツール(coffin stool)。

「地元で棺桶をスツールの上に載せ、そのスツールのことを棺桶スツールと呼ぶ」ことから、そんな名前がつき、スツールを使用するのはご遺体をネズミから守るための風習が残っていることからだそうだ。座面の四方が折りたためる長方形の椅子のことで、彫像の下のスツールも見逃せない逸品(珍品?)だ。

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踊り場の窓より眺められるニアソーリー村の景色。ビアトリクスも何度となく眺めたであろう場所に自分が立っていると思うだけで感慨深い。

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階段を上った先は、『ひげのサムエルのおはなし』でサムエルがめん棒を転がし運ぶ場面に描かれた。

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そうそう話が前後するけれど、めん棒の前にバターも失敬したサムエル。こちらは階段の上り口部分が描かれ、大きな窓から射しこむ光が眩しい中、ネズミの通路を通らずにふてぶてしく階段を上るサムエル。

『ひげのサムエルのおはなし』はヒルトップハウスの内部が詳細に描かれていて、私達訪問者を絵本の世界へといざなってくれる。さらにこの続きはまた次のブログにて。

ピーターラビットの絵本の世界 in白樺湖

ピーターラビットイベント&報告
08 /24 2018
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ピーターラビットの絵本の世界 in白樺湖(←イベント詳細は公式ページで確認)

お盆休みを利用して乗鞍岳に行くという計画が持ち上がった時、グットタイミングで白樺湖でイベントが開催されているから立ち寄ろうと行ってきました。

中央高速道路を諏訪南ICで降り、白樺湖までは順調にドライブできたのに、イベントが開催されている白樺リゾートのレイクサイドプラザは駐車場待ちの車で渋滞していた。

ここまで来てまさかの事態にびっくり!

ウィンターシーズンはこの辺りをよく通過するものの、白樺湖も何もかも雪におおわれ、ここに湖があることすら気づかず通り過ぎることも。昨年初めて夏の白樺湖に来た際は、朝早くに白樺湖を散策したので、合宿中の学生がランニングする姿や犬の散歩される方など見かける程度で静かな湖畔だった。そこが一転、車・車・車の大行列。

駐車場は、白樺リゾートの施設で「世界の影絵・きり絵・ガラス・オルゴール美術館」に空きがあったので無事停めることができた。

しかしどうやってレイクサイドプラザに行けばいいのか。。。?

道を聞きに行こうとお土産ショップを抜けると、うさぎ広場があり、うさぎ達が「野菜ちょーだい、ちょーだい」とうさタッチを披露していた。

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そんなウサギたちに紛れて白黒仔ウサギに胸キュン!色のバランスがすごく良くて、耳は片方が黒でもう片方が白、ずっと眺めていても飽きない可愛らしさ。

レイクサイドプラザへは、施設間を無料周遊バス「ポタバス」を利用。約10分間隔で随時運航していて便利なポタバスであっという間に到着。

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レイクサイドプラザ前

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建物2階に「ピーターラビットの絵本の世界 in白樺湖」のエントランス 9時から17時まで 入場無料 レイクサイドプラザ内も施設無料

昨年夏、白樺湖を見た時、英国 湖水地方のウィンダミア湖に雰囲気が少し似ていると思った。今回、このようなイベントが実現したのは、白樺湖が湖水地方のエスウェイト湖に雰囲気が似ているということから、白樺湖がピーターラビットの絵本の世界に結びついたようだ。

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絵本と一体型フィギュア

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ここでようやくイベント会場が2階であることや、全面窓から見える美しい白樺湖の景色と、ピーターのコラボレーションが素敵すぎて視線が釘付けに。

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空と森と湖が一体になったこの美しい景観、ずっと永遠に残して欲しい

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会場内でイングリッシュガーデンを再現しているコーナーは、美しい白樺湖の景色をパネルで遮り、植木鉢を並べてあるだけのもの。ヒルトップハウスへと続く小径のボーダーガーデンを思い浮かべながら眺めると雰囲気がでるかも。

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会場を大きく占めるのは物販コーナー。白樺湖に現在販売されているピーターグッズのほとんどが集められたかのよう。

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こちらはこのイベント池の平ホテル&リゾート限定グッズ
マグカップ2種類、クリアファイル2種類、ミニタオル2種類、ポーチ、瓶キャンディ

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アンタイトルとピーターラビットのコラボグッズ、キッズ用エプロン。デザインがとっても可愛い。お揃いの三角巾付き。アンタイトルグッズを2000円以上購入すると「ツバメノートxピーターラビット」のノートプレゼント

敬老の日にプレゼントしたら喜んでもらえるかしら?と思ったのが、18081413.jpg
ピーターラビットステッキ7500円
将来の自分用にも必要かしら?(笑)

たくさんあるグッズにも目移りしますが、なんといっても窓から見える景観はため息が出るほど美しい。これから秋に向かって10月中旬頃から紅葉シーズンもまた素敵だろうな。このイベントは11月5日まで開催中。皆さんもぜひ白樺湖で絵本の世界を堪能してみてはいかがでしょうか?

さてさて、小休止もここまで。再び英国旅行記の続きを書かなくては。

乗鞍岳ご来光バス

ハイキング
08 /18 2018
英国旅行記2018は一旦小休止し、お盆休みを利用して出かけた乗鞍岳について。

何でもご来光バスというものがあり、登山初心者でも気軽に素晴らしいご来光が見られるという言葉に惹かれ、これはぜひどんなものか見てみたいと思った。

ご来光バスの出発地点は乗鞍観光センター前で朝3時40分にバスが出発する。そのため前日より自宅を出発し、乗鞍観光センターの駐車場で車中泊した。

乗鞍観光センターに到着したのは午後5時過ぎ、駐車場は既にキャンピングカーや車中泊仕様と思われる車が停まっていた。すぐ近くに午後9時まで営業している日帰り温泉「湯けむり館」があり、源泉かけ流し乳白色の硫黄泉でお湯は最高なのに、更衣室は狭く床は掃除が行き届かずその点が残念。

乗鞍観光センター近くの食事処は、ランチ営業で終了の店が多く、夜8時まで営業しているお店は3軒のみで、宿が用意する夕食を事前予約すれば食べられるという場所が2軒ほど。

朝も早いので夜9時過ぎに就寝。標高1500mの場所での車中泊はさぞかし涼しいかと思いきや、寝苦しさはなかったものの、それほど涼しくはなかった。

翌朝、乗鞍観光センター前のバスターミナルでご来光バスの往復チケット(1人2800円)を購入し、3号車に乗り込む。アルピコ交通が運航するご来光バスは、人数分バスを手配してくれるので、この日はバス5台分の乗客が乗り込み、いざ日本一高いバス停を目指す。

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ご来光バス1号車

当然ながら辺りは真っ暗闇で、街灯なども1本もなく、バスのヘッドライトだけが頼りの運転。乗車時間は約1時間、最初はなだらかなカーブが続く道だったが、乗車20分過ぎぐらいから、カーブの先がまったく見えないぐらいの急角度となり、ゆっくりとした一定のスピードでひとつ、ひとつカーブを曲がって標高をあげていく。

ご来光バスの終点は畳平(標高2702m)だが、その地点からご来光は見えない。「大概のお客さんは標高2716mというバス停で降り、道路上でご来光が見られますし、道路左側の山の上からも見られます」というアナウンスがあり、3号車の乗客は全員そこで下車。アナウンスにあった左側の山、富士見岳(標高2817m)には登らず、右側の大黒岳山頂(標高2772m)に昇ってご来光を待つ。

冒頭記載した「登山初心者でも気楽にっていうのは嘘だったの?」

ご心配なく!

大黒岳山頂は、バス停よりゆるやかな階段を10分ほど登れば山頂に到着。例えば神社参拝の急こう配の階段を登ることを思えば、まったく問題なし。しかし、標高2716mは高地順応できていない体には負担が大きく、さらに早朝ということもあり10分の山登りがきつかった。出発地点で無風だった天候も、バス停を降りた瞬間旗がなびくほどの風があり、じっとしてることが出来ないほど寒い。

バスが出発して「標高2716m」に到着したのは4時30分。ご来光の予定時刻は朝5時と運転手よりアナウンスがあったので、ゆっくり登っても充分間に合う。

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大黒岳の山頂に到着するとなだらかな稜線沿いに避難小屋があり、ご来光を待つ間 風除けに利用。避難小屋より見たご来光を待つ人たち

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ご来光は5時2分

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手前に広がる雲海

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10分ほどで空が白み雲海がより鮮明になる

富士山でご来光を見る際は、3時間ほどかけ標高3000m付近まで登山し眺めていたことを思うと、バスで1時間ほど揺られ10分登山しただけ眺めることができ、なんてお手軽ラクチンなんだろう。

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バスの終点畳平は、尾根に囲まれた窪地のためご来光がみえない。畳平の窪地にある鶴ヶ池、ツルのように見えるからこの名前がついたとのことだけど、水が干上がり鳩サブレのハトのようだ。

朝食は、畳平バスターミナル(標高2716mバス停より徒歩10分)の1階売店にて朝4時半から営業している軽食コーナーにて、おにぎり弁当をいただく。

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一息ついたところで、天空のお花畑へ。標高2700mに咲き誇る高山植物の群生地を木道がぐるりと取り囲むお花畑散策は、ゆっくり歩いて40分ぐらいのコース。

残念ながらお花畑の見頃は過ぎたのか、一面のお花畑のように咲き誇ってはいなかった。運が良ければお花畑でライチョウが見られるかもしれないと期待したものの、この時期のえさ場は違う場所なのか見つけることはできなかった。

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乗鞍岳畳平 天空のお花畑 チングルマの咲き終わり(花が終わるとこのような姿となり、名前の由来である珍車が見られる)

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乗鞍岳畳平 天空のお花畑 トウヤクリンドウ

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乗鞍岳 大黒岳の登り口 高山植物の女王 コマクサ

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車で行ける日本で一番高いところにある一万尺乗鞍山頂簡易郵便局(建物一番左)が、今年から銀嶺荘へと場所を移動し、ここより郵便物を出すと乗鞍山頂の風景印がもらえる。その間にあるのは乗鞍本宮で御朱印も400円でいただける。

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乗鞍本宮 御朱印

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一万尺乗鞍山頂簡易郵便局の風景印

もし体力にゆとりがあれば、百名山のひとつ乗鞍岳山頂 剣ヶ峰(標高3026m お花畑より剣ヶ峰山頂まで約1時間半)を目指してもいいし、ここが標高2700mというのを忘れて思う存分楽しめるはず。

YAMAP「乗鞍岳」こちらのページに「乗鞍岳散策マップ(PDF)」有り

私達はお盆休みということもあり、高速道路の渋滞も気になったので、お花畑を満喫した後、1時間に1本発車するシャトルバス(代金はご来光バスの往復分に含まれる)に乗り込み、再び乗鞍観光センターへ。

松本市内では道端でスイカ直売の旗が目に飛び込み、そのうちの1軒に立ち寄ってみたら、販売規格外の座りの悪いもの、傷が少し入ったものなど破格値で販売されていて思わずスイカ大玉を購入。三菱UFJ 信託銀行の今月のピーターラビットカレンダーのように、スイカにかじりつく日々を堪能中(笑)

ヒルトップ農場へ その3

英国
08 /09 2018
ヒルトップ農場にあるヒルトップハウスは、どこもかしこも絵本の舞台として描かれ、時が止まったかのように感じる空間が広がる。ラッキーなことに今回で3回目のヒルトップ、少しは落ち着いて見学できるかと思いきや、憧れの地に足を踏み入れることができ興奮して動悸が抑えきれず、旅行前に予習したというのに本番で頭が真っ白になってただただ夢中でシャッターを押し続けた。

文章に書いた説明通りに写真撮影ができていない言い訳を最初に書き記し、このひとつ前のブログ記事、ヒルトップの玄関ホールの続きから。

玄関ホールに続いては、隣の応接間(The Parlour)へ。

玄関ホールよりさらに小さな部屋で、部屋の両側の壁はパイン材を張り部屋の調度品や扉との調和が保たれている。

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この部屋ですぐに目を奪われるのは、大理石でできたアダム様式の暖炉。この暖炉はビアトリクスがヒルトップ農場を購入後に設置されたもので、特別な部屋という印象を与えてくれる。

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暖炉の上にあるのは、スタッフォードシャードッグ(Staffordshire dog)で、犬が口にウサギを咥えたグレイハウンドの置物。こうして暖炉の上に対で飾るのがヴィクトリア朝で流行り、別名「暖炉犬(fireplace dog)」とも呼ばれるほど。
その置物の間にあるのは、メイソンズ(Masons)のアイロンストーンシリーズの両手マグ。17世紀後半ヨーロッパで人気のあったシノワズリ(中国趣味)を、英国の名だたる窯がこぞって取り入れ、様々な紋様が生産された。ビアトリクスも、玄関ホールや応接間に飾るほど、お気に入りだった様子がうかがえる。

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壁に直接かけられているのは、ウェッジウッドの牡丹(Peony)柄プレート。プレートの色合いが、部屋の壁や家具との調和して本当に素晴らしい。また、ヒルトップガーデンに植えられているのはシャクヤク(Peony)で、牡丹の花と美しさはどちらも変わりない。『こねこのトムのおはなし』でもシャクヤクが描かれている。

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インテリアは、アンティーク家具の代名詞ともなっているマホガニー材で、暖炉の横にあるクロウ&ボールというオリエンタル調の脚がついた19世紀の折り畳み式カードテーブルと、部屋の真ん中にある丸いテーブルはチッペンデール様式のマホガニー三脚テーブル。椅子はフレンチ様式の布張りチェア。

ビアトリクスは18歳の時に日記で「私が家を持っていたなら、アンティーク家具を買うのに。ダイニングルームはオークの家具を置いて、絵を描くための部屋はチッペンデール様式の家具」と書いている。

1905年ビアトリクスは39歳でマイホームを手に入れ、玄関ホールの家具はオーク材で、応接間はチッペンデール様式と、日記に書いた通りに実行し、その行動力には改めて驚かされる。

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応接間の壁に取り付けられている吊り食器棚の中に、1902年エドワード7世戴冠式を記念したコロネーショングッズ(英国王室お祝い記念グッズ)のティーポットがあり、『パイがふたつあったおはなし』でリビーがお茶を振る舞う際に描かれたもの。

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ポットの蓋の部分が王冠になっている

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ビアトリクスが収集した書籍が並ぶ本棚の一番上に、ジョン・ピールのマグが展示されている。これは1935年、ジョージ5世即位25周年で、ニアソーリーの隣ファーソーリーにあった学校が記念行事を行う際、学校へビアトリクスが寄付したもの。


マグに描かれた人物、ジョン・ピールは、キツネ狩りが好きな農民で、その逸話をマザーグースのメロディにのせて歌ったことで多くの人に知れ渡ることになった。このマグには、ゼンマイ仕掛けのオルゴールが付いていて、マザーグースのメロディが流れる限定生産のもの。この学校が1960年に廃校となり再びヒルトップに展示された。
ビアトリクスは『妖精のキャラバン』の第17章に馬車馬の歌としてジョン・ピールの歌を書いている。

応接間は、自分の夢を叶えた自分へのご褒美のような素晴らしいインテリアに囲まれたビアトリクスにとって至福の部屋だったに違いない。

ヒルトップ農場はまだまだ続きます。この続きはまた次のブログにて。

ヒルトップ農場へ その2

英国
08 /02 2018
ビアトリクス・ポターの聖地を巡る旅は、いよいよヒルトップ農場へと足を踏み入れることができた。

見学できるのは、ヒルトップハウスと、ガーデン、ショップの3カ所。農場部分は柵で仕切られ立ち入り禁止だが、現在も羊などを飼育し農場を経営している。ここで飼育されている羊は、ビアトリクスが種の存続に尽力したハードウィック種と思われがちだが、ハードウィック種は高地向きの品種の為ここではあまり見かけない。

この場所は例え初めて訪れてもどこか懐かしく感じる場所に違いない。何故なら、そこかしこに絵本で見慣れた背景が見られるから。
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まずは小径から。ヒルトップハウスまでのアプローチとなる小径は、『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』に登場する。

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エントランスポーチは、『こねこのトムのおはなし』や、
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クリスマスカードデザインとしても描かれた。

ヒルトップハウスは、17世紀に建てられたファームハウスで、天井が低くく、それぞれの部屋はそれほど広くない。玄関ホールは玄関扉を入ったすぐの部屋で、湖水地方に住む農夫は「ファイアハウス(firehouse)」とか「ハウスプレース(Houseplace)」と呼ぶそうだが、ビアトリクスはここを「玄関ホール(The Entrance Hall)」と呼んでいた。

玄関ホールの灯りは、玄関扉の横にある大きな出窓から差し込む日差しだけで、夜はキャンドルライトの生活。といっても、多忙を極めるビアトリクスがヒルトップハウスで過ごせるのは1年の内でも数か月ほど。結婚後は住居をカースルコテージに移した為、灯りに関してはそれほど不自由はしなかったかもしれない。

公開されているヒルトップハウスは、窓からの日差しと間接照明替わりにテーブルランプが何カ所かに設置されている。しかし部屋の暗さは相当なもので、カメラの撮影が許可されたものの、上手に撮影するのは難しかった。
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ビアトリクスはゼラニウムを植木鉢で育て、霜が降りる季節が訪れる前に部屋の中へ入れていた。ゼラニウムの鉢は、『こねこのトムのおはなし』で玄関扉横の出窓に描かれ、『ピーターラビットのおはなし』でマグレガーさんの畑にある鉢を3つもひっくり返し、そして三度『フロプシーのこどもたち』に描かれた。

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『パイがふたつあったおはなし』で、リビーの玄関扉に描かれたドアノッカーは、玄関ホールの暖炉のある壁の向かって左側の扉にかけられているデーモンキャットのドアノッカー。これと同じものを河野先生が探し当て、概観がヒルトップハウスにそっくりなビアトリクス・ポター資料館の調度品も本物に着々と近づいている。

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玄関ホールの暖炉は、『ひげのサムエルのおはなし』でこねこのトムが隠れる場所。

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暖炉の前の敷物は、布の端切れを何枚も重ね合わせたラグ(Rag Rug)で、湖水地方に昔から伝わる伝統的な敷物。暖炉の上に並べられた真ちゅう製の馬具の装飾金具ホースブラス(Horse Brass)は魔除けのような意味合いもあり、英国ではこのように暖炉に並べて飾ったりした。

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『ひげのサムエルのおはなし』でアナ・マライアがねり粉を失敬している場面、タビタお母さんは「そのねずみ、どっちへいった、モペット?」と聞きますが、モペットは怖くてどっちに逃げたか見ていませんでした。

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アナ・マライアが走り去った先にネズミ穴(mouse hole)を発見!
ビアトリクスがヒルトップ農場を購入した際の最初の困った問題は、ひげのサムエルやアナ・マライアたちが厚い壁の隙間をすり抜け、煙突をかけのぼり、床板の下を走るなどということが起こり、ビアトリクスは「ネズミが96匹いた」とカウントするほどだった。

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ビアトリクスの父、ルパートがデザインした鳥や動物の図案が描かれた絵皿。この絵皿の内、6枚が日本にやってきて、1年以上かけて「ピーターラビット展」で展示されていた。ヒルトップハウスに展示されていたものが、この場を離れることなど有り得ないのに奇跡が起きた。こうして再び全部揃った状態で見ることができるなんて原画展での感動がよみがえる。

ヒルトップハウスの玄関ホールに足を踏み入れただけなのに、そこかしこに広がる物語の数々。続いては玄関ホールの隣の部屋、応接間へ。この続きは次のブログにて。

ラピータ

ピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポターの愛好家で、作品について、開催されたピーターラビットのイベントやグッズ紹介、ピーターラビットの故郷英国について紹介するホームページ「ラピータの部屋」のブログです。
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