英国旅行記2018年 「グロースターの仕たて屋の家(The House of the Tailor of Gloucester)」へ

1866年の今日7月28日は、尊敬してやまないビアトリクス・ポターの誕生日です。こんなおめでたい日に、英国旅行記の続きを執筆することができました。2016年の生誕150周年からもう4年、154回目の誕生日記念日です。Happy Birthday, Beatrix Potter!

それでは、2018年の英国旅行の5日目は、湖水地方から南に約330kmのところにあるグロースターへ向かいました。途中に駆け足で立ち寄ったストラットフォード・アポン・エイボンの寄り道はこのひとつ前のブログ記事でご覧ください。

グロースターに到着した時間は午後3時過ぎ、チェックインを済ませすぐにグロースターのメインイベント、「グロースターの仕たて屋の家」に向かいました。午後4時半にクローズしてしまうため、大急ぎで向かいましたが、ホテルから徒歩5分という近さなのであっという間に到着です。

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『グロースターの仕たて屋』は、グロースターのシンボルである大聖堂を周辺とした地域を舞台としたお話で、町の名前がタイトルとなった唯一のお話です。

このお話の主人公、年老いた仕たて屋が経営するお店の舞台として、ビアトリクスが選んだのは、コレッジコート(College Court)と呼ばれる路地の一番奥にある建物でした。

グロースターの町は、町の中心部を起点とし、東西南北に大きな通りがあり、それぞれの方角がストリートの名前になっています。コレッジコートは、ウェストゲート通りから大聖堂へと向かう路地の名前で、大聖堂の手前にセント・マイケルズ門(St. Michael's Gate)があり、ここをくぐると大聖堂は目の前です。

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『グロースターの仕たて屋』より

コレッジコートが描かれている挿絵。注目していただきたいのは、セント・マイケルズ門(正面に見える建物の下をくぐり抜ける場所)の向こう左側に見える大聖堂(Cathdral)のタワー。4本の柱の内、2本がはっきりと描かれています。

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コレッジコート。ビアトリクスが描いた頃より、周囲の建物が高くなっている為、挿絵の通りに撮影するのは至難の業です。路地ゆえスペースがない、右側の建物に張り付いて、背景の大聖堂のタワーを意識しながらようやくそれっぽいものが撮影できました。しかし、撮影場所は路地を入ったすぐじゃないと大聖堂のタワーが隠れてしまうし、路地右側の建物ぎりぎりまで寄るので、周りの建物の入り口付近にあるものが目隠しになり、肝心のセント・マイケルズ門が写りこみません。

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『グロースターの仕たて屋』より

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この建物を撮影する際、左斜めから撮影してしまうのは、この挿絵の影響です。しかし、ここから撮影すると、正面入り口が奥まっているため隠れてしまいます。

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正面から撮影。

お話では仕たて屋の店として描かれましたが、ここはファンにはたまらない「グロースターの仕たて屋の家」として、魅力的な博物館とショップがオープンしています。入場無料。

この建物は、1535年までその歴史を遡ることができ、ビアトリクスが描いた頃1890年代は私邸でした。1978年に『グロースターの仕たて屋』の出版社であるフレデリィック・ウォーン社が購入し、ビアトリクスが描いたように店の内装と間口を改装し、「仕たて屋の家」アトラクションとして1980年にオープンしました。

この場所は、グロースターで真っ先に訪れたい場所ですが、この町はそこだけが見所ではありません。町全体がおはなしの舞台だからです。この町に降り立ち、建物の間から大聖堂がチラチラと見える景色を見ながら歩いていると、お話の舞台へ舞い降りたように武者震い?がして、興奮MAXになってしまうのです。

とはいえ、時間がないので町の見学は後回しにして、まずは「グロースターの仕たて屋の家」を見学。1階はピーターラビットのショップになっていて、この店オリジナルの『グロースターの仕たて屋』グッズなども販売されています。

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1階から2階へと通じるカーブした階段は、階段と壁の隙間の吹き抜けを利用し、グロースターの町の景色に欠かせない大聖堂のオブジェが掲げられています。

2階は、私達11名全員が見て回るにはちょっと窮屈なスペースでしたが、『グロースターの仕たて屋』の魅力が満載された博物館になっています。

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ジョン・プリチャードについての紹介コーナー。
ジョンが仕たて屋で実際に使っていた仕事道具の展示。

このお話は、実話を基に作られました。仕たて屋のジョン・プリチャードは、週末にチョッキを作るため、生地をそれぞれのパーツに裁ったまま店を後にしました。そして週明けに店を開けると、「あな糸が足りぬ」というメッセージを残して、チョッキが仕上がっていたのです。それを彼は、妖精が作ったと世間に触れまわりました。

「夜に妖精たちがチョッキを作ってくれるプリチャードの仕たて屋さんにいらっしゃい "Come to Prichard where the waistcoats are made at night by the fairies."」

彼はお店のショーウィンドウにこのような張り紙を出し、世間の注目を集めました。その噂話をビアトリクスは、グロースターの近郊の町ストラウドに住む従姉妹のキャロライン・ハットンから聞きました。

このお話に好奇心をそそられたビアトリクスは、グロースターの町に出かけ、あちこち町の風景をスケッチしました。こうして『グロースターの仕たて屋』のお店として、ビアトリクスが選んだ建物が、お話が出版されて100年以上経つ現在も、私達ファンを世界観そのままに楽しませてくれています。

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窓際にある大きなガラスケースは、仕たて屋ネズミたちがチョッキを仕立てる様子を見ることができるからくり仕掛けのもの。雪が積もった屋根まで再現されています。

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猫のシンプキンの気持ちになって、窓から仕たて屋たちの作業を覗きこみます。

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『グロースターの仕たて屋』で、仕たて屋ネズミたちが仕上げた刺繍が美しいチョッキのレプリカは、グロースター州の婦人会(The Women's Institutes, WI)の作品だそうです。ビアトリクスが模写したチョッキの本物は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館にあります。

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また、年老いた仕たて屋の人形も手作りと思われます。そしてたくさん窓のあるキルト作品も手作りでしょう。これらの展示作品の多くは、ビアトリクスファンより寄贈されたものだそうです。ファンも一緒になって博物館を盛り上げていく、このような試みもファンにとっては嬉しいですね。

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寄贈されたものは手作り作品だけでなく、過去から現在に至る様々なグッズ、もちろん見覚えがあるものもあるでしょうけれども、そういった品々も展示されています。

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一番下にあるのは、グリムウェイズ社の磁器セット。

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反対側の大きな棚には、様々なフィギュアが展示されていました。

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フロアの真ん中に展示されているのは、ビアトリクスが考案したピーターラビットのボードゲーム。このディスプレイがなければ、もう少し余裕で見て回れますが、なにしろ狭い!ネズミたちがくつろぐには十分すぎるスペースですけどね。

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最後に紹介するのは、とても貴重な展示パネルです。

この数枚のパネルは、『グロースターの仕たて屋』に描かれた挿絵の建物や通りの名前を特定し、それらをパネルにして紹介しています。
例えばパネル上段の一番右のパネルは、年老いた仕たて屋が店を閉めて自宅へ帰る途中の道を描いたものですが、「これはノースゲート通りより1本入ったオックスボディ通り(Oxbody Lane)。現在オックスボーデ通り(Oxbode)と名称が変わり、キングス広場へ続く広い道路になりました」とあります。

パネルには、その場面の挿絵と、昔のオックスボディ通りの写真があり、見比べると通りの両側の建物や、真正面に大聖堂が見える様子といい、見たままの景色の通りがそこにありました。

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しかし、現在その場所は、区画整理され百貨店デベンナムズが建ち、すっかり様変わりしてしまいました。当時の名残りとして、正面に大聖堂のタワーが見えます。

グロースターの町の散策は、この次の旅行記でたっぷり紹介することにし、1階のショップの奥にあるスペースは、ビアトリクスが描いた挿絵をもとに再現された仕たて屋の家のキッチン兼リビングルームです。

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大きな暖炉の前には、仕たて屋が疲れて倒れこむように座った椅子と古時計。

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そしてその横にある食器棚には、シンプキンが捕まえたネズミたちを誇らしげに見つめる後ろ姿を楽しむことができます。

さらにショップは、ピーターラビットファンが素通りできないグッズであふれかえっています。ここでの売り上げが施設の運営費となり、管理は熱心なボランティアによって支えられています。この施設を末永く運営してもらうために、訪れる人たちがグッズを購入することで助けることができるのです。

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ロイヤル・ドルトンのフィギュアと、ロイター・ポーセリンの磁器製品

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新しいグッズも昔から変わらないデザインのものも両方扱っているのがとても嬉しい。

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グロースターの仕たて屋の新デザインのぬいぐるみは、ここでしか購入できないかも。

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「グロースターの仕たて屋の家」オリジナルマグカップ

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同じくオリジナルトートバッグ

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ショップで販売されていたリーフレット(50ペンス)について。

白黒印刷のA4より少し大きいサイズの3つ折りリーフレットですが、このお話の簡単なストーリーを含め、実際に起きた出来事をもとにしたお話である仕たて屋のジョン・プリチャードの紹介、そしてビアトリクスがこの実話を絵本として出版したからこそ、さらに多くの人々を魅了し、「仕たて屋の家」のアトラクションへ英国本土はもちろんのこと、ヨーロッパ、北米、日本などから人々が訪れるとありました。単なるリーフレットではなく、ポイントを押えた読み応えのある内容でした。お土産にも良いと思います。

ブログ記事の最初に紹介した画像は、このショップで販売されているポストカードです。

グロースターのメイン観光スポット「グロースターの仕たて屋の家」アトラクションの紹介でした。次はグロースターの町散策について紹介したいと思います。この続きもまた長くなりそうな予感がします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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