静岡市美術館で開催された講演会「ピーターラビットの世界へ」のレポート

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今年の3月26日、世田谷美術館から始まった「出版120周年 ピーターラビット展」は、9月15日より静岡市美術館で11月6日まで開催中です。静岡市美術館開催をもってこの展覧会は終了となります。

この展覧会について執筆したブログ記事:

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私も何度か足を運びましたが、静岡が最後ということでもう一度じっくり観賞しに行ってきました。

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写真撮影スポットは、会場のあちこちではなく、1カ所に固まっていました。日曜日でしたので、大勢の来場者でにぎわっていました。

さらにこの日は、展覧会の監修者である大東文化大学教授の河野芳英先生の講演会「ピーターラビットの世界へ」が開催されたので参加してきました。

講演会は定員60名の内、応募者数が153名になったそうです。応募者多数の場合は抽選になりますと案内がありましたが、抽選の結果「当選」しました。この講演会は、なんとも狭き門だったようです。

さらに、講演会前日は台風15号が静岡県西部に大雨をもたらし、美術館のある葵区も台風当日は停電で休館していました。新幹線も止まってしまい、どうなることやらと思いましたが、次の日には何事もなかったかのように電車は動き出し、美術館もその周辺の飲食店も通常通り営業していました。お陰様で無事参加でき感謝感激です。ありがとうございました。

さて講演会レポートです。

講演会場の多目的ホールは120名収容可能だそうですが、感染対策で間隔を開けてレイアウトする為、収容人数が半分になった旨、講演会司会の学芸員伊藤さまよりご案内がありました。

講演内容:
・出版120周年 ピーターラビット展の見どころ
・ビアトリクス・ポターについて
・新訳翻訳者 川上未映子さん

オープニングはいつも、先生のお得意な落語で始まることが多いのですが、先生はこの時間が一番楽しそうで30分は喋れるのではと思うほどです。しかし、今回はそれらを封印し、「ピーターラビットと言えば何を思い浮かべますか?」と、大きなスクリーンに映像が流れ講演会は始まりました。

「ピーターラビット」と言って、すぐに絵本が思いつく人が大半かと思いきやそうではなく、可愛いグッズだったり、テレビコマーシャルだったり、最近知ったという方は映画だったりと。これも出版されてから120年という歴史があるからこそ、知るきっかけは人それぞれなんだなぁと思いました。

これほど長きに渡り愛されるキャラクターもないのではと思いますが、その長さを全く感じさせないのも魅力のひとつですね。

展覧会の見どころとして、会場で一番最初に紹介している書簡について解説されました。

この書簡は「『ピーターラビットのおはなし』のピーターの挿絵のモデルは、実はピーター・パイパーの前に飼っていたベンジャミン・バウンサーであったことを明かしている」というもの。

絵本の原型となったのは、絵本の作者ビアトリクスの家庭教師だったアニー・ムーアの長男ノエル宛に、1893年9月4日に送った絵手紙でした。そこには4匹の小さなウサギの話がイラスト付きで書かれていました。その絵手紙を書いた時、ビアトリクスが飼っていたウサギはピーター・パイパーと名付けられたウサギでしたが、その前の年に亡くなったベンジャミン・バウンサーがモデルだったと綴られている書簡です。

実際に飼っていたウサギをモデルとしたこと、その実際の姿を綿密にスケッチして絵本の挿絵を描いたこと、そうした一連の作品が展覧会で見られること。そしてこの展覧会の目玉については、5月2日と5月9日にフジテレビで放送された「プレミアの巣窟」で、出演者の方々と目玉について紹介している映像が流されました。

展覧会の見どころが分かりやすくまとめられているので紹介しましたとのことでした。

次に作者についての解説は、生い立ちに始まり、ノエルに絵手紙を送るまでの経緯を、ビアトリクスの性格を交えながら紹介されました。作者について知る機会は、伝記や研究書などを読まない限り知り得ない情報です。こうした知識を身につけてから、展覧会の作品を見るとまた違った見方ができたのではないでしょうか?

さらに、映画「ピーターラビット」のトレーラーを見ながら、オリジナル作品からかけ離れた内容になっているとはいえ、オリジナル作品を彷彿とさせる部分など、絵本に慣れ親しんでいる人も楽しめる作品になっていると紹介されていました。

映画に出演されたビア役ことローズ・バーンさんが朗読されたThe Tale of Peter Rabbitを聞きながら、イギリス英語のイントネーションと、絵本の挿絵がアニメーションになっている部分を楽しみながら聞き入りました。

この講演会に集われ参加された皆さんと、一期一会の出会いの中、あらゆる角度から『ピーターラビットのおはなし』を楽しめる、そんなヒントをいただけるような講演内容でした。

最後に、芥川賞受賞作家の川上未映子さんが今年3月から早川書房にて『ピーターラビットのおはなし』シリーズの新訳に挑まれていて、彼女がビアトリクス作品を翻訳することになったことを紹介する記事、2021年12月6日読売新聞の記事や、1971年に初版が出版された日本語訳の石井桃子先生との訳の違いなどにも触れられていました。

そうした中、なんと河野芳英先生も10月12日から創刊される「ピーターラビットの世界 イングリッシュガーデン&ハウス」で、『ピーターラビットのおはなし』から始まる23作品の全訳に挑まれ、それらが掲載される予定です。こちらはマガジンを購入してくださった方限定にはなりますが、大人の読者に向け漢字を多用し、掛け言葉になっている部分はできるだけ英語のままに伝えようとしている旨のご紹介がありました。

埼玉県こども動物自然公園にある大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館の館長も務められる河野先生は、以前紹介されたTV番組「世界ふしぎ発見」で放映された資料館の展示についてもふれらました。
資料館の最大の目玉として、1902年にThe Tale of Peter Rabbitが商業出版された4種類の初版版と、展覧会でも展示されている私家版2種類も常設展示されている様子など、TVのレポーターが貴重な初版本を目の前に目を丸くして見つめている様子を見れば、講演会に参加された静岡県民の方々も是非とも一度は訪れたくなるそんな地になるのではないでしょうか?

そんなこんなで、1時間半の講演会は途中5分の休憩を挟み、ちょうど時間ぴったりに終わりました。質疑応答の時間は設けられませんでしたが、最後に拍手喝采で終了しました。

先生の講演をお聞きして、また再び展示の様子を見たくなるそんな内容だったと思います。この日は特別に再入場可能になっていました。

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静岡市美術館を後にして、松坂屋で開催中(10月10日まで)の「出版12周年 ピーターラビットバースデーパーク」にも立ち寄りました。イベント会場でしか買えない限定品が盛りだくさんとのことで、新商品のねこグッズも登場していました。

無事に静岡市美術館に行くことができ、そしてピーターラビットとその幅広い世界観を満喫した1日でした。お付き合いしてくださった皆さま、講演会を開催してくださった静岡市美術館の皆さま、講演をしてくださった河野先生、ありがとうございました。拙い内容ですが、最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
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ラピータ

ピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポターの研究家で、作品について、開催されたピーターラビットのイベントやグッズ紹介、ピーターラビットの故郷英国について紹介するホームページ「ラピータの部屋」のブログです。
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