本の紹介 Beatrix Potter's Nursery Rhyme Book

ずっと探していた本をとうとう見つけました!!

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Beatrix Potter's Nursery Rhyme Book
(1984年出版)フレデリック・ウォーン

本書は、ビアトリクス・ポターが、ピーターラビットやその仲間たちのお話に織り込んだナーサリーライムとリドル(なぞなぞ)をまとめた書籍です。

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Beatrix Potter's Nursery Rhyme Book
(2001年重版)フレデリック・ウォーン(出版社ペンギングループ)

私はこの書籍の改訂版(1995年出版、2001年重版)を持っていたのですが、吉田新一先生の著書「イギリスの絵本」上(2018年出版 朝倉書店)で、改訂版との違いについて知り、全く同じ内容と信じていた私は驚きました。

というのも、先生曰く「本書は、フレデリック・ウォーンが親会社のペンギン・グループに譲渡される直前の1984年に出版されたもので、後にペンギングループが独自に改訂版を出版しました。収録されたナーサリーライムの数も1984年が88編、1995年が53編、その内51編は同じですが、収録された総数だけでも、この2冊は別個の本です」とあります。

それから1984年版を入手したいと探し、冒頭にも書いた通り、とうとう見つけたという訳です。

まずは88編のナーサリーライムの内訳を見ましたら、商業版ではカットされてしまったものの、私家版のグロスターの仕たて屋で多く織り込んだナーサリーライムを23編(内、商業版に掲載されたもの11編)や、1905年に出版しようとしていたアプリイ・ダプリイのナーサリーライム35編(内7編が1917年にアプリイ・ダプリイで出版された)が掲載されていました。

ピーターラビットを出版してからまだ3年目でしたが、ビアトリクスはナーサリーライムを出版しようと編集者にその意気込みを伝えていたのです。

しかし1905年、編集者のノーマン・ウォーンの急死を受け出版を断念しました。もしノーマンが生きていたらアプリイ・ダプリイの35編のナーサリーライムが出版されていたのは間違いないと思います。そうした未発表のナーサリーライムの28編が本書に掲載されています。未発表と言っても、彼女が子供の頃から大好きなナーサリーライムを集めたものなので、彼女のオリジナルではありませんが、挿絵はオリジナルになるはずでした。

その中の1点「The mushrooms」は、Nid Nid Noddy, we stand in a ringというライムと共にキノコのかさの下から可愛い女の子が顔をのぞかせて、月明かりの夜に輪になって踊っているという下絵が残されているのです。私はこの下絵が大好きで、人物画が不得意と言っていたビアトリクスですが、ファンタジーになると途端に雰囲気が変わって、この続きが見たいってなりませんか?
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ナショナル・トラスト所蔵 ビアトリクス・ポター「The mushrooms」の下絵
オリジナルは、ナショナル・トラスト・コレクションのサイトでご覧いただけます。

彼女はキノコを飽くなき探求し、実験を繰り返して論文を作成するという研究者の一面もありながら、夕闇が近づくとキノコたちが輪になって妖精のように踊っている姿を想像するという一面もあり、どちらも彼女の在りし日の姿でした。

さらに晩年出版した妖精のキャラバンから、日本語版はカットされましたが、原書には序文があり、ビアトリクスの心情を見事に言い当てたナーサリーライムが掲載されています。以下、妖精のキャラバンの序文に掲載されたナーサリーライムです。全文は本書に掲載されています。

As I walked by myself, 私がひとりで歩くとき、
And talked to myself, 私は私に話しかける
Myself said unto me, すると私が私に答える
。。。

1937年9月、ビアトリクスが友人に宛てた手紙に「昔からあるナーサリーライムをご存じ?」と前書きして、「これと同じように、私はいつも自分に話しかけてきました。声も出して、無分別でおかしな習慣ですから、真似しませんように」と書き添えています。

吉田先生のおかげで、貴重な1冊を手にすることができました。本当に嬉しいです。ナーサリーラムは、日本語に訳すとそこに書かれている意図が上手く伝えられずちぐはぐな意味になるのですが面白いです。いつか少しずつ紹介できたらいいなと思ってます。以上、本の紹介でした。最後までお読みいただきありがとうございました。
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ラピータ

ピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポターの研究家で、作品について、開催されたピーターラビットのイベントやグッズ紹介、ピーターラビットの故郷英国について紹介するホームページ「ラピータの部屋」のブログです。
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